身近だけど実はよく知らない不織布とは?
こんにちは!エナクロ編集部です!
コロナウイルスが世界に蔓延してから必需品となった「マスク」
そんなマスクによく使われる素材が「不織布(ふしょくふ)」
そんな不織布がどんなものかわかっていない方も多いのではないでしょうか。
今回は「不織布」について書いていきたいと思います!
不織布(ふしょくふ)とは
名前の通り「織らない布状のもの」のことを言います。
普通布状のものは、織ったり編んだりしてつくります。これに対し、不織布は繊維を一定方向またはランダムに重ねて絡み合わせて、接着剤や熱で結合させてシート状にしたものです。
不織布の歴史
不織布の歴史は、1920年代にドイツのフェルト業者が毛屑や紡毛を接着剤で固めたのが始まりと言われています。
当時はフェルトの代用品として使われていました。これが工場で生産された不織布の第一号です。
その後ドイツやアメリカで研究が進められ、第二次大戦で進歩を遂げた合成繊維や合成ゴムの材料を応用して、今日の不織布と同じようなものがつくられ始めました。
日本で不織布の生産が始まったのは、1954年に国内企業が米国から乾式不織布製造装置を導入してからのことです。その後、各社が次々と不織布の生産を開始しました。
※乾式不織布とは空気中に分散させた繊維を積層する方式で製造する不織布のことです。
繊維を糸や布に加工する技術を発見する以前の人類は、動物の毛皮や樹皮をほぐしたものを身にまとっていました。
繊維(樹皮)を織ったり編んだりせずに布状にする。
まさに不織布の原形です。
また、羊の原産地ヒマラヤ山脈からチベットにかけて遊牧民が、羊の体の毛がもつれているのを見て、これを人工的につくることを試みたのが最初のフェルトだといわれています。
フェルトも不織布の一種ということができます。
📌不織布の特長
不織布はポーラス(小さい穴が多数空いている)構造であることが特長で、通気性・吸水性・保温性などの基本特性があります。加えて、目的や用途に合わせてこの特長を引き出して機能を高めたり、多様な原料や製法の組み合わせによって布状・レザー状・綿状・紙状などさまざまな形状にしたり、しなやかなものから強靭なものまでつくることができます。つまり、必要に応じて機能と形状を自由自在に設計できることが最大の特長です。
📌不織布の原料
不織布には、多種多様な繊維を使用することができます。 詳細は以下の表を参照してください。
【天然繊維】
綿
肌触りの良い仕上がりになりやすいのが特徴です。
ガーゼをはじめとする医療用品で使われています。
羊毛
肌触りの良いフェルトも不織布の1種です。
フェルトは毛の繊維などを石鹸液などで湿らせ、圧力を加えることで作ります。
麻
麻以外にもケナフ、バナナ、バンブー(竹)繊維などが新しい原料として注目されています。
パルプ
パルプとは木材や草などから取り出した繊維のことです。
紙の原料として知られていますが不織布の原料としても使われています。
医療用品や化粧品、食品関連などさまざまな用途で使用されています。
竹
竹から繊維を作り出す技術を用いて竹素材の不織布が製造されています。
使い捨てのペーパータオルやマスクにも使用されています。
絹
不織布の原料として一般的ではありません。理由としては、不織布をつくるにはカットして短繊維にする必要があり、絹の長繊維としての特長を生かせないからです。
鉱物繊維
石綿は、アスベストとして知られ、建築材料として断絶材に使用されていましたが、公害の見地から使用されなくなりました。玄武岩を原料としたバサルト繊維は、高温耐熱、高強度の特性があります。
【化学繊維】
レーヨン(再生繊維)
吸水性が要求される衛生材やナプキンに多く使われています。
ナイロン
不織布では衣服の芯地や研磨材(たわし)などに使用されています。しかし、原料がポリエステルやポリプロピレンと比較して割高なため、使用は限られています。
ポリエステル
一般的にPETと呼ばれ、不織布で使用される割合が非常に高い繊維です。衣料用、とくに防寒衣料の中わたとしても大量に使われています。
ポリエチレン
一般的にPEと呼ばれています。
工業資材など耐久性を要求される用途で使用されています。
ポリプロピレン
一般的にPPと呼ばれています。
衣料用や工業資材などで特に耐久性を要求される用途で使用されています。紙おむつなどのカバーストック材料に使われ、飛躍的に使用が拡大しました。
アクリル繊維
不織布にはあまり使用されませんが、炭化した炭素繊維やアクリル繊維に物性を付与したもの(静電気防止、抗菌、難燃など)があります。
ビニロン
親水性、耐溶剤性、耐候性に優れ、建築でルーフィング基材として使用されています。
アラミド繊維
耐熱性、耐久性に優れ、フィルタ材、絶縁材などの産業用途に使用されています。また、防災用として衣服やインテリアなどにも使用され、脚光を浴びています。
【その他の繊維】
ガラス繊維
寸法安定性に優れ、耐熱性や絶縁性を必要とする用途に使われています。
◎不織布のメリット
不織布は繊維をそのままシート状にできるので、織物や編物のように繊維を紡糸する必要がありません。このため、織物や編物に比べて低いコストで実現できます。また、不織布特有の性質(ろ過性、保温性、通気性)に加え、原料や製法の組み合わせによってさまざまな機能を付与することができます。
✏️要するに・・・
・通気性、吸水性、保湿性に優れている
・縦横の方向を持たず寸法安定性に優れている
・複数の素材を組み合わせることが可能
・原料や製法の組み合わせにより機能を付加できる
・厚みや密度を自由に変更できる
・大量生産ができて安価
・裁断部分からほつれることがない
△不織布のデメリット
不織布はその製法上、織物や編物よりも耐久性が低いので、何度も繰り返して使用する用途には向きません。しかし、他の素材と合わせて使用したり(例:衣類の芯地など)、樹脂などで含浸したり(例:FRPなど)ラミネートの方法で耐久性を持たせることもできます。また、コストが安いので、ディスポ-ザブル(使い捨て)用途(例:おむつ、掃除用ワイパー、マスク、病院用の手術着や帽子など)では広く使用されている素材です。
✏️要するに・・・
・織られた布と比較すると耐久性が低い
・何度も繰り返して使用するものには向いていない
📌不織布の用途
不織布はコストが安いため、使い捨て用途で広く使用されています。
医療用品
・手術着
・ガーゼ
・マスク
衛生用品
・紙おむつ
生理用品
・ウェットティッシュ
・衣料用品
・衣料用芯地
・ブラジャーカップ
・肩パッド
生活用品
・スーツカバー
・ティーバッグ
・コーヒーフィルター
・キッチンペーパー
・CD、DVD等の簡易ケース
・トートバッグや巾着
建築・土木用品
・ルーフィング材
・結露吸収シート
・防音材
・ろ過材
・遮水シート
身近な商品を例として挙げましたが、
みなさんが普段、使っている物もあったのではないでしょうか?
マスク以外にも多くの用途で使われているので、意識して見てみると不織布の商品がもっとあるかも?!
いろいろな用途で使用されている不織布について書いてきました!
不織布は目的や用途に応じて原料や製法を組み合わせることにより、いろいろな機能を付加できる優れた素材ということがわかってもらえたかと思います!マスク以外にも使われていることがわかってもらえたかと思うので街中で意識して探してみてくださいね:)
今回はここまで!
▷参考文献
日本バイリーン
http://www.vilene.co.jp/about/nonwoven/about_nonwoven.htm
トートバッグ工房
https://www.totebag.jp/honten/column/nonwoven.html
▷編集: ogi サユリ
最後まで読んでくれてありがとうございます☺️
少しでもクローゼットづくりが楽しくなるような知識をお伝え出来ていたら嬉しいです。
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